76
「manipuri」と私 VOL.13
manipuriスカーフデザイナー 琴平奈利子さん
ストーリーを感じて色&柄を楽しむ
2023.12.04
大学の4年間、ロンドンでテキスタイルデザインを学んだ経験を生かし「manipuri(マニプリ)」のスカーフデザイナーとして活躍する琴平さん。
キャンバスで絵を描くように好きな色やモチーフを描き、それをそのまま纏うことができるのがスカーフデザインの魅力だといいます。
色&柄で表現されたストーリーや世界観を感じながら、manipuriのアイテムを主役にスタイリングを楽しむ。
そんな4ルックを「AT THE VOICE」で披露してくれました。
淡いトーンのボタニカル柄が
顔まわりをやさしく彩る
シックなロングコートにシルクとウール、リバーシブルで異なる表情が楽しめるマフラーを纏いドラマティックに。「どんな風に巻いてもサマになるよう先端がカットされているのがポイントです。柄を全面に出すとスタイリングの主役に、ベージュのウール面を見せるとシンプルに。気分やTPOに合わせてアレンジできるのも魅力です」
スカーフの鮮やかな色柄に
ポジティブなメッセージを託して
フランス語で「LA RIE EN ROSE(バラ色の人生)」と描かれたグラフィカルなスカーフは琴平さんがデザインしたもの。「人生は一度きり。些細な幸福を見落とさないで生きていこう。というメメント・モリの精神を、自由な色彩で描いた薔薇とメッセージで表現しました」。スカーフの色とリンクするグリーンのベロアパンツが大人っぽくシックなムードを演出。
バッグのハンドルに巻いて
スカーフの世界観をさりげなく
シンプルなバッグのハンドルにスカーフで彩りをプラス。それだけでいつものスタイルがさりげなくプレイフルな装いに。独自の色彩で草花を抽象的に描いた大胆な構図のスカーフは琴平さんのデザイン。
「初めから色々計算してデザインするよりも、無意識に浮かんできたものを一旦自由に描いた方が、最終的に納得のいくデザインになることが多いです」
自由で独創的なスカーフデザインに定評のある琴平さん。高校時代から美術を専攻しており、ロンドンの大学に進学したものの、海外式の美術教育は日本と異なることが多く、当初は戸惑うことも多かったそう。
「ロンドンでは、作る過程を見せるスケッチブック作りも重視されていて、最初はなかなかうまく自分の中で発展できず、もどかしい日々を過ごしていました。ですがその経験が今では、デザインするうえでの長所の一つになっているように感じています」
マニプリのスカーフデザイナーは個人プレーのため、発案からサンプル確認などの作業は個人に委ねられており、配色も各自バランスを取りながら提案しているのだそう。
頭の中に浮かんだアイディアを自由に形にしていく今の仕事は、昔から絵を描くことが好きだった琴平さんにとってはまさに天職。
「私は今までになかったスカーフを提案したいと思っていて、自分の強みでもある色彩を生かしたデザインを組むことが多いです。デザインのテイストもその日の気分で変わるので、一貫して『このスタイルが私』とは言えないのですが、どの商品にも程よく私らしさが散りばめられたらいいなと思っています」
琴平奈利子|NARIKO KOTOHIRA
幼い頃から絵を描くこと、色を組み合わせることが好きで、高校では美術を専攻。大学はロンドンに留学しテキスタイルデザインを学ぶ。
卒業後は帰国し2022年にmanipuriのスカーフデザイナーとしてフラッパーズに入社。海外で学んだ色彩感覚や日常からのひらめきをオリジナリティあふれる色柄に落とし込み、今までにないスカーフデザインを提案。
website:https://www.flappers-unit.com
STAFF
styling&model by Nariko Kotohira
photography by Makiko Obuchi
hair & make by Aoi Nagasawa
edit & text by Eriko Azuma